すべての世代が暮らしやすい家~「ユニバーサルデザイン」と「バリアフリー」を知って快適な住まいづくり

バリアフリーという言葉を聞くと「高齢者や障害を抱えている人への配慮」というイメージが頭に浮かびますよね。そのため、「まだ若いから大丈夫」と若い世代の住まいづくりではバリアフリーをあまり意識しない人も多いのではないでしょうか。

最近では、バリアフリーと似ているけれど少し違った意味合いのワード「ユニバーサルデザイン」が注目されつつあります。

いったい、両者の違いはなんなのでしょうか?

◆そもそもバリアフリーとはどんな意味?

バリアフリーとは、「バリア」+「フリー」という二つの言葉が組み合わさってできたもの。

身体機能が弱まりつつある高齢世代の人や障害を抱えた方は、一般的な住宅のなかでも「バリア(障壁)」となる部分は多いでしょう。それを「フリー(取り除く)にする」というのがバリアフリーの考え方です。

◎バリアフリー住宅で考えられるポイント

  • 歩いてつまずかないように段差を取り除く
  • 廊下、トイレ、浴室に手すりをつける
  • 開閉しやすい「引き戸」にする
  • 滑りづらい床材の浴室
  • 車椅子でも通れる廊下の幅、玄関前のスロープ

など、高齢者や障害をもった方が主に使う居住空間のバリアを取り除くように設計されます。

◆誰もが快適な「ユニバーサルデザイン」

バリアフリーは「高齢者や障害者という特定の方に向けた配慮」であるのに対し、ユニバーサルデザインは「すべての人に使いやすい」ということを重視しています。

住宅に限らず、生活のなかで目にするあらゆるもの(歩道や信号機、公園、ビルの自動ドア、自動販売機、エレベーター、携帯電話など)を年代や性別関係なくどんな人でも使いやすいデザインにしようという取り組みです。ユニバーサルデザインの考え方を住まいにも取り入れることで、子供から大人まで誰でも生活しやすい居住空間になります。

◆ユニバーサルデザインの住居にはどんなものがある?

「家庭内の事故の原因となりやすい階段」をすべての人が安全に使える設計にするのもユニバーサルデザインの考え方。「間取りを広くとろう」とすると階段スペースが狭くなって「急勾配で危険な階段」となってしまうもの。階段スペースに余裕を持たせれば勾配を緩やかにでき、誰もが落ち着いて昇り降りしやすくなるでしょう。

また、洗面所の蛇口も世代によっては使いづらくなる部分。ハンドルレバーを握って上下に動かす動作は、握力がない子供には不便かもしれませんよね。センサーで水が出るタイプにすると、子供が使いやすくて手洗いが億劫にならずにしつけ面でもプラスになりそうですね。

◆まとめ

住む人が暮らしやすくなるように住居を安全・快適にするという意味では、「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」ともに根底にあるものは同じかもしれませんね。

階段や蛇口以外にも、誰もが使いやすいように「玄関入口を広めにする」「洗面台の高さを低めにする」「浴槽を浅いものにする」など、さまざまなユニバーサルデザインの考え方があります。

子供たちの目線、高齢となったときの目線など視点を変えつつ、住む人みんなが暮らしやすい住まいづくりをしていきましょう。

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